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快適性とパフォーマンスは両立できる

2025.11.21

快適性とパフォーマンスは両立できる

スポーツの世界では「楽をしていては成果は出ない」とよく言われます。
自転車でも、「快適なサドル=遅い」「硬いサドル=速い」と考えられがちです。
しかし実際には、ペダルをこぐ力(パワー)は筋肉から生まれ、ドライブトレインを通して車輪に伝わるもので、サドルが力を生み出すわけではありません
つまり、サドルは硬くなくても、高いパフォーマンスを支えることができるのです。


パワーを生み出すのは脚の筋肉

ペダリングの力は、お尻(大殿筋)・太もも前側(大腿四頭筋)・太もも裏(ハムストリングス)・ふくらはぎといった筋肉の連動によって生まれます。
この力は直接ペダルに伝わり、チェーンとギアを通じてホイールを回します。
サドルの役割はあくまで体を安定させる支点を作ること。
硬くても柔らかくても、サドル自体がパワーを生み出すわけではありません。


快適さがパフォーマンスを高める

ではなぜ「硬いサドルの方が速く感じる」ことがあるのでしょうか?
それは姿勢の安定と快適性に関係しています。
圧力分布の研究によると、サドルの形状はお尻や骨盤にかかる圧力の分布や安定性に大きく影響します。
体に合ったサドルは、しびれや痛みを防ぎ、長時間同じ姿勢を維持しやすくし、結果的に効率的にペダルをこぎ続けることを助けます。

適度な「しなり(Flex)」と「沈み込み(Compression)」を持つサドルは、路面からの振動を和らげ、体に自然にフィットします。
これにより、無理のない姿勢で力を出し続けることができ、快適さがむしろパフォーマンスを支えるのです。


「硬いサドル=速い」という思い込み

それでも「硬い方が速い」と考える人が多いのはなぜでしょうか。
理由のひとつは心理的なものです。
「痛みに耐える=努力している=速くなる」という価値観が、長年スポーツ文化の中に根づいているからです。
しかし、実際の物理的なデータはその考えを支持していません。

最近のサドルは、軽量でスリムな形状を保ちながらも、しなりを取り入れて快適性を高めた設計が主流になっています。
プロ選手の使用するサドルでも、「薄くて硬い」より「軽くてしなやか」がトレンドです。


まとめ

サドルは「硬くなければ速く走れない」わけではありません。
その役割は、体を正しく支え、快適な姿勢を保つこと。
本当の意味での“パワー”は筋肉が生み出し、チェーンやホイールを通して伝わります。
サドルの硬さとは関係ありません。

「硬い=速い」という考え方は慣習のようなものですが、科学的な裏付けは薄いのです。
今のサドル技術が示すのは、「快適性とパフォーマンスは対立しない。むしろ両立するもの」という事実です。

次回は、サドルの形や取り付け位置がペダリングにどう影響するかを見ていきましょう。

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